2011年05月09日

医療保険は個人で加入する、それとも会社で加入する?

最近は、医療保険に加入している方も多くなってきました。

単体の医療保険に加入している方だけでなく、現在加入している保険に特約として付けている方もいらっしゃいます。
しかし、中小企業のオーナー社長が、わざわざ個人でこういった医療保険に加入しているのを見ると、ちょっともったいない気がしてしまうのは私だけでしょうか。


それは、せっかく損金にできるのにそのチャンスをうまく活用できていないからです。


会社から見ると、中小企業オーナーが入院や手術をしたりすると、業績が下がったり、他の役員や従業員にも負担がかかったります。場合によっては信用問題になって、得意先から契約を解約されることや、銀行から保証人を求められたり、返済を求められたりすることもあり得ます。
こういった社長が入院した場合のリスクに備えるため、社長に対して生命保険、特にこの場合は医療保険をかけておくというのは、会社としても合理的な意思決定の一つです。そのため、こういった保険の大部分は損金にすることが認められているのです。

個人契約の医療保険で支払われる保険金は非課税で受け取れますが、他方、会社契約の医療保険の場合、受け取った保険金は雑収入に計上されてしまい、そのままだと課税されてしまうというデメリットがあります。
これにあてられる損金の見舞金は、慶弔見舞金規程に従って支給する必要がありますので、一般的には10万円程度までといわれており、あまり多額に出すことができないのが難点です。

社長の入院や手術などで、想定どおり業績が下がればこの雑収入部分も損失で吸収できますが、それを超えた部分は課税されてしまうということになりますので、かけ過ぎてしまうと税金が高くなりすぎてしまうリスクが出ますので注意が必要です。


また、個人で医療保険に入ると、給与として所得税、住民税、社会保険料などが引かれた後のお金で保険料を支払うことになりますので、非常に資金効率が悪くなってしまいます。
今年末までの契約分の生命保険は、年末調整や確定申告で、一般の生命保険料として所得税で5万円、地方税で3.5万円を上限とした控除を取れますが、これも、保険料が10万円を超えていれば打ち止めになってしまいます。
しかも、個人で払う保険料の多くの部分は掛け捨てですし、保険料を払ったから必ず保険金をもらえるというわけではありませんので、大多数の健康な社長にとっては払い損になることも多いのです。

来年契約分からは、個人で医療保険分の控除枠が新設され(一般と年金保険の枠は小さくなります)、多少は得になることもあります。
しかし、現時点では掛け過ぎず、あまり病気になったりすることがなければ、法人で加入しておいた方が有利なことが多いのです。

ちなみに、法人で雑収入が計上されたとしても、その期中に他の損金が立てば税金は出ませんし、オーナー社長の場合、急にお金がいるときでも多少の利息を払えば、会社のお金を個人に貸し付けることも可能です。その返済も、後日役員報酬から返済するということでもOKです。
また、会社契約の医療保険を個人契約に名義変更することもできる場合が多いので、大きな病気をして退職するときでも保障が無くならずに安心です(いずれ退職金として個人への引き継ぐことを前提に、保険料を終身払いにした終身医療保険を全額損金に落とせるように設計したりするケースもあります)。

逆に病気がちなどで将来入院や手術する可能性が高い場合、法人で損金に落ちなかったとしても、個人で加入した方が、保険金受け取り時に課税されないという意味では有利なのかもしれません。
とはいえ、現実的には、バリバリ働いている会社の経営者が、たくさん入院する前提で医療保険に加入しようとすることはほとんど無いと思いますので、こちらが有利になるのはよっぱどの場合だけかと思います。

どうしても心配なので、個人で加入したいということであれば、当面はあせらず会社で加入しておき、来年以降に控除枠が新設されてから、個人で控除が取れる限度いっぱいまで加入した方が良いのかもしれませんね。その頃には各社からいい商品が出ていると思いますし。

個人の生命保険の見直しはFPなどが行っていることが多いですが、法人を含めて全体を見直してみると、「なんでこんなことになってしまっているんだろう」というようなことがよく起きます。
両方みていることが多いのが税理士ですし、どこかで税金が絡んでくるのが保険ですから、クライアントのために我々が日々がんっている分野の一つです。


同じカテゴリー(節税)の記事

Posted by ユナイテッド・アドバイザーズ株式会社 at 15:16│Comments(0)節税
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。